タイム麻疹
かつては、おおむねしょんぼりしていたが
苦手なことがいつの間にか 意外に平気になっていたり
発想すらしなかったことをやっていたり、けっこう上機嫌だよ。
若かった自分に大丈夫だからって言ってやりたいが、
うっすら憧れていたことさえ何ひとつ到達しなかった
現在の自分から言われても、当時の自分はかえって失望を深めそうだ。
料理はドラマだ
たとえば主人公(ハンバーグ)の人生は
さまざまな出来事、経験(挽肉や玉葱その他の野菜、パン粉や香辛料)が
練り合わされ、そっと寄り添う恋人(目玉焼き)や
脇を固める助っ人的な面々(つけあわせ)とともに
ナイスなソース(好運、チャンス)で素敵な一皿、めでたし、めでたし。
まあ、でもウチは群像劇だから、と
なんでも刻んで、いちどに炒めてしまう。
昔々あるところに
暗い森に小径が続いて、その先の藪を抜けたら
湖がありました。
わたくしが子供のころ、キャラメルのおまけに
淡い色彩の絵に謎詩をそえたカードが入っていて
集めたかったが、キャラメルあまり好きじゃなくて
二枚くらいしか持っていなくて
今でも持ち物のどこかに紛れているはずだ。
カードのその他の絵や謎詩の解釈のことが気になっているが
大したことがわからず今に至っていて
たまにすごく気になりだすのを何年か続けている。
アン・ナバンというらしい
何かを抱えるように
腕を輪にするバレエの構えに似ていると思えば
老眼鏡にも優雅なところがあるのだ、と
自らを宥める。
おひさしぶりね
出先で知人に遭遇した折
「瘦せたんじゃない?」と聞かれたが
思いあたるふしがないので
「老けたのよ」と答えた。
奇跡に近似値
むしょうにチョココロネが食べたかった。
暑くてかなわないので日が暮れたら買いに行こうと思っていたら、
家にいるはずの母がおもてから帰ってきた。
「おやつ買ってきたわよ」
本人はメンチカツだった。