朦朧日記

眇めに語る些事の重箱

ひっそりめらめら

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涼し気というか繊細な風情というか、気に入ったので拾ってきた。

よく見たら、優美な曲線のさきは情念のようにがっちり巻き付いて、そのまま心中。「にごり江」など連想した。

草木のあいだにも人知れず演歌な展開があったのだなあ。

などとてくてく歩いて郵便物を投函してきた。

 

 

なかったことになんかできない

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机に据えた電灯が壊れてしまった。自分では直せないようだ。

15年以上は使っているが、好きな形だったので

同じものを探したら、あった。ネット通販で手配して安心。

腕の部分は工作用にとっておいて、傘も何かに使えないかしら。

いじってたら、傘からソケットが取り出せた。

ふたつに分かれた電線の片方が外れている。

外れたのを嵌め直して、ソケットを傘に戻して、

コードのつれたのを伸ばして、あら、デンキ点くじゃないの。

でも、あした、新しいの届くのよ。

 

あとはタイミング

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一念発起したのが夕暮れ時で、

渾身の力を込めて生地を練り、発酵させている間

やる気の種火を消さぬよう、何時ぞや 招かれたお宅にてごちそうになった

アボカドとクリームチーズを混ぜたものを我が家でも、と

入念にかき混ぜて焼きたてに向けて待機。

ソーセージとキャベツとついでにトマトも炒めたのがおかずで、

きゅうりを薄切りにしてドレッシングで和えた。

焼きあがったのは、9時あたり。

朝ごはんみたいな晩ごはんだが皆飢えているので

文句は言われなかった。

 

秘密が行方不明

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 昔々、わたくしの子は無口な子供であったが、たまに喋った。

両のげんこつを合わせてから花が開くように指を広げ、

腕ごとこちらに向け突き出して、得意げに

「じじぼ」と言って、ひゃらひゃら笑いながら、あっち行ってしまった。

「じじぼって、何?」聞いてみたが

「ないしょー」くねくね身をよじり要領を得ない。

後年、こんなことあったね話の中で、あれは何だったのか聞いてみた。

ひげ生えたお兄さんになってしまった今は何も覚えてなかった。

無口なあの子は新陳代謝の向こう側に行ってしまった。

 

乙女のちから瘤

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小さいこしゃこしゃしたものは、いずれこんなかたちになっていく。

うっとり陽に溶けて、果物しか口にしたことのない架空のお嬢さん、

擬人化したらそんな雰囲気。斯くあれかしと願われながら

炙られ叩かれ鍛えられ、ざらざらした鋼で擦られて、作られる。

言わば、スパルタ式で育った娘たちなのだ。

概念としての「肉体的鍛錬を経た女兵士」に通ずるかもしれない。